第1章 それぞれの事情[3]

@筆者:五味洋治プロフィール [ 2011年 6月 4日 ]

一生独身男性6人に1人

男性、特に中年以降の男性がなかなか結婚できなくなったと書いたが、私の幼なじみの例を挙げてみる。池田博幸さんだ。50を過ぎて、今も独身である。
母親が20代の時にガンで亡くなり、妹は早くに結婚した。役所に勤めていた彼は、父親と二人暮らしをしながらきまじめに仕事をして、係長になっている。
久しぶりに会ったら、ずいぶん太って体重が90キロになっていた。結婚する気はないのかと聞くと「もう無理、1人で生きていく」と話す。押しつけがましいかもしれない。失礼になるかもしれない。そう思いつつ、「思い切って外国人との結婚を考えてみたら」とすすめたが、「もういいよ」と言うばかり。八〇歳代半ばの父親は最近、足が悪くなって歩けなくなった。それも結婚を思いとどまらせている一因だろう。私には漏らさなかったが、心の中では父親の世話、仕事、自分の結婚など、将来への不安は増すばかりではないかと思える。
残念ながら、彼の条件では、多くの日本人女性は引いてしまうにちがいない。池田さんだけではない。私の周辺には、五〇代、六〇代になっても独身を貫いている人が目立っている。
そんなことがあって以来、日本人の未婚率について気になっていた。
国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2009年)」によると、生涯未婚率は男性が15・96%、女性は7・25%だった。
特に男性は、10年前の調査と比べ約7ポイント上昇している。この数字は、6人に1人が一生結婚しない計算になる。日本の将来が不安になる予測である。

ちなみに数字はこうなっている。
性別生涯未婚率
年次        男        女
1965年    1・50%    2・52%
1970年    1・70%    3・33%
1975年    2・12%    4・32%
1980年    2・60%    4・45%
1985年    3・89%    4・32%
1990年    5・57%    4・33%
1995年    8・99%    5・10%
2000年    12・57%    5・82%
2005年    15・96%    7・25%


2009年には、50代で1人暮らしをしていた関東在住の男性が相次いで日本人女性による結婚詐欺の犠牲となり、お茶の間のニュースを独占した。結婚願望をくすぐる甘い言葉に乗ってしまったのかもしれない。
国際結婚している男性の平均年齢はどのくらいだろうか。統計は見つからなかったが、多分40歳以上であろう。
日本国内で結婚を「ほぼ諦めかけている状態」「おひとりさま直前」状態の男性にとって、国際結婚はかなり貴重な存在になりつつある。

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日本の平均収入は「富裕層」

収入面で見た場合、日本の男性は、中国と比べ、どのくらい差があるのだろうか。
まず中国から調べてみた。2009年に中国国家統計局が発表した数字によれば、6万5000世帯のサンプリング調査で、上半期の都市部住民1人あたりの可処分所得は、8856元(約12万3187円)。農村での調査によると、上半期の農村住民現金収入は2733元(約3万8016円)だった。年間にならすと、都市部は24万、農村部は8万円になる。都市部と農村ではざっと約3倍の差だ。
都会ではどんどん富が溜まっている。コンサルタント企業「マッキンゼー・アンド・カンパニー」の発表によれば、世帯年収25万元(350万円)以上の中国の富裕世帯は2008年に160万世帯に達している。この数は年間16%の速度で増加しており、2015年には400万世帯に達する見込みだ。そうなれば、中国は同年、米国と日本、英国に次いで富裕世帯が世界で4番目に多い国となる。
日本では国税庁の調査がある。2008年度でみると給与所得者数は、4587万人(対前年比1・0%増、45万人の増加)で、その平均給与は430万円(同1・7%減、7万6千円の減少)だった。
ちなみに男性だけに絞ると、533万円(同1・8%減、9万7千円の減少)、女性271万円(同0・1%減、2千円の減少)となっている。とすると、景気後退で危なっかしくはなっているが、日本の平均的男性は、中国で言えば、まだまだ立派な富裕世帯といえそうだ。


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産んでくれる?

中国人女性は、子供を産んでくれそうだとの期待は本当だろうか。
2008年11月28日、中国紙「国際先駆導報」は日本人男性と結婚する中国人女性が増え続けている現状を伝え、彼女たちの国際結婚が「日本の将来に少なからず貢献している」と報じた。
この新聞が指摘した日本への「功績」の1番目は、子供の出生率への寄与だった。
2008年9月2日、厚生労働省の調査によると、06年に生まれた赤ちゃんは110万4862人。そのうち「両親のどちらかが外国人」の赤ちゃんは3万5651人で、全体の3・2%を占めた。また、「母親が外国人」の赤ちゃんは2万6228人だった。
「母親が外国人」の場合は、「中国」が6805人で最も多く、「フィリピン」の6250人、「韓国・北朝鮮」の4385人が続く。
また、「両親ともに中国人」の赤ちゃんは2505人、「両親のうちどちらかが中国人」は7781人に達し、新生児全体のうち140人に1人が「中国系の血を引く赤ちゃん」だった。
日本人と中国人の夫婦の間に生まれた新生児は05年に4430人、06年に4874人、07年に5411人と確実に増えていると同紙は伝えた。
「そのうち、日本は中国に乗っ取られる」と見る人もいるかもしれない。しかし、日本と中国は経済的に相互依存しており、関係を絶つ訳にはいかない。日本では子どもの数が29年連続で減少している。人口に占める子どもの割合は、国連人口統計年鑑でみると人口4000万人以上の国で最低となっている。
このように少子化が深刻化している日本では、中国の血を引く子供たちの存在を積極的に考えたいと思う。


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国籍、民族におおらかな日本人

日本人は国際化に消極的で、仲間内で固まるのが好きー私もそういう印象を持っている。ところが、こと国際結婚となると、違う面が見えてくる。
たとえば、在日韓国人の9割は日本人と結婚している。1985年に国籍法が改正され、夫婦のどちらかが日本人なら子どもは日本国籍となることになった。この傾向が続けば、四十数年で在日コリアンは日本社会から消えてしまうと心配する声もある。在日社会には、在日の伝統や文化が失われるとの危機感が強いと聞く。
アメリカには多種多様な民族が住んでいることは誰も否定できない。しかし、その民族同士が溶け合って一緒に生活しているかといえば、そうは言えないだろう。たとえば米国のピュウ・リサーチセンターによると、白人、黒人、ヒスパニック、アジア系といった異民族間の結婚は全体の1・6%に過ぎず、白人と黒人の結婚は、もっとも少なく、60組に1組しかない。米南部ルイジアナ州では昨年、異人種間の結婚は道徳的に正しくないとの理由から、地元治安判事が黒人男性と白人女性の結婚許可証の発行を拒否した事件さえあった。
依然として、民族間で結婚することをタブー視する空気が残っていることを物語る。
一方日本では、冒頭にも書いたが、最近の統計で、約18組に1組が国際結婚しており、特に都会では10組に1組となっている。
日本人は相手の国籍について比較的おおらかだといえるのではないか。


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