第3章 私の「年の差」結婚[3]

@筆者:五味洋治プロフィール [ 2011年 7月 13日 ]

仕事するのが当たり前

私の妻はことあるごとに仕事をしたがり、仕事への夢を語る。
今も週1ー2回パートタイムをしているが、彼女がこれまで話した仕事への夢は数え切れない。
アメリカに四川火鍋店を出す。日本の優秀な浄水器を中国に輸出する。日本語学校の事務職員になって、故郷の若者を日本に連れてくる。フルタイムの中国語の先生になる。
ほとんどは、熱心に計画を立てて、すぐ忘れてしまうのだが、この仕事への意欲は、いささか気圧される。
社会主義のもとで、女性の労働参加は半強制的に行われてきており、女性が外で働くことを当然視する風潮を作ったとの指摘もある。
さらに中国では、家事を夫婦ふたりで行うことがかなり一般的だ。ある調査によれば、36・5%の家庭が、「食事の準備は妻と夫が協力して行う」と答えた。
ちなみに日本では2%が、食事の準備を夫婦2人でやると答えている。
つまり中国では、家事を共同で分担しており、家事は妻1人でやるものではないと考えている事を示している。
さらにこの調査によれば、女性の9割が「自分の仕事のために家庭が犠牲になっても仕方がない」と答えた。
中国の仕事を持つ女性は、しばしば子供を遠く離れた親の家に預けっぱなしにするが、これも彼女らの仕事観から来ているのだ。
日本では主婦が子供の世話をして、夫が外で長時間労働する仕組みになっているので、だいぶ考え方が違うということになる。
日本での「主婦」は、中国では「家庭主婦」と呼ばれる。専業主婦という意味では同じだが、しばらく前までは、「家庭主婦をやっている」と自分で言うのは恥ずかしかったという。働く能力や意欲がないと、自分で認めているようなものだからだそうだ。
一方、2009年11月7日の中国紙・京華時報によると、「辛い仕事を続けるか?それとも経済力のある男性と結婚して専業主婦になるか?」との質問で、中国の働く女性の7割が、専業主婦生活を選ばないと答えた。少なくとも職業を持つことは女性にとってプライドを保つことだ。

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QQ中毒

中国人の奥さんの中には、QQと呼ばれる中国のチャットソフトを一日中やっている人が少なくない。私の妻も、暇なとき、パソコンをつけっぱなしにして、中国にいる友人と1日中チャットをしている。
QQは基本的に中国製のパソコンでしか動かないが、特別な方法を使って、私の家の日本のパソコンにもインストールしたのだ。休日には時々外に連れ出し、パソコンから離れるようにしたが、それでも帰るなり、パソコンのスイッチを入れる。
友人がチャットを呼びかけると「トントン」とドアを叩く音がする。文字だけでなく、音声チャットができる機能もあり、何時間でも夢中になっているので、こちらもそのままにしていることが少なくないが、これはあまりいいことじゃない。
話してみると「日本人とは友達になりにくい」「親しくなったと思っても壁がある」「表情が暗い」と言う。
相変わらず言い方がストレートだ。
「気持ちは分かるけれど、もう少し優しく言うと日本人もうれしいかも」と穏やかに応えた。これも彼女と付き合いはじめ、私が学んだ部分だ。
以前は「勝手に決めないほうがいい」などと言って、言い合いになることもあった。
ただ、そうやって逃げていては、どんどん世界が狭くなる。
中国人は「濃密な近所付き合い」をしている。中国では古い隣人を「老隣居」などとよび、深く交際する。
しかし、日本のようにお祭りや行事を一緒にすることはあまりない。これは会社単位でやるものだからだそうだ。
最近は中国でもアパートも増えているが、それでも月1回近所の日をつくって一緒に食事をしている。
私もこれは経験した。アパートの隣の部屋の人が遊びに来て、一緒に食事をしたこともある。夏は外で涼む人が多いので、自然と話をする機会が多くなる。
ふたりで歩いている時、近所の人に会ったら妻を紹介し、いろいろな行事にも参加してみよう。

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働くなら共働き

ここまで、私が生活上で感じてきたことを書いたが、中国における女性の地位や、結婚、家族観についての幅広い調査がある。周辺に中国人女性がいる人には参考になるはずである。
「データで見る東アジアの家族観」(ナカニシヤ出版)という本に掲載されており、日本、韓国、中国、台湾の人たちに60の質問をして、その答えを比較している。
2万人が協力したというからすごい。データは生のまま並べられており、詳細な分析はない。あまり単刀直入な結論を出さないようにしているのかもしれない。
その中から、中国人に焦点を当てて紹介しよう。
興味深いのは、中国の女性は、意外にも「内助の功」を最も重視しているということだ。この本も、その点を指摘している。
たとえば「妻にとって、自分自身の仕事より、夫の仕事の手助けをする方が大切か」という質問には、中国の反対者が2割に留まり、もっとも少なかった。
質問の視点を反対にして、「夫は外で働き、妻は家を守るべきだ」には中国が、強く賛成、9・7%、賛成17・7%、どちらかといえば賛成33・2%で最も多かった。
夫婦の働き方では、中国が突出していて、66・2%が共働き。56・9%の台湾、50・4%の日本、韓国の48%を大きく離している。
内助の功重視と共働き志向ー一見矛盾しているのが中国人女性の心理なのかもしれない。
夫婦の理想的な子供の数でも中国は特徴のある回答が集まった。
62・7%が「ふたりが理想」と答えており、4カ国中最も多かった。ちなみに日本は3人が理想と答えた人が57・9%で最も多かった。
一方で子供の男女については、中国は65%が「どちらでもよい」と答えている。ただ中国でも南部に行けば、男児を好む傾向が強まる。
結婚に問題がある場合の離婚について、最も肯定的なのも中国で「賛成」するが約50%になる。日本は約30%にとどまった。
「結婚後の女性は、自分の親を経済的に支援すべきか」との問いかけでは、8割強が賛成している。韓国では、女性が結婚すると、自分の親の面倒を見る意識が低下するのと好対照だった。

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命令形

それは私の妻は、よく命令形を使って私と話す。たとえば食事時に、吃飯(チーファン)「ご飯を食べて」と言うのだけれど、言い方によっては「早く飯を食え」というニュアンスに聞こえることがある。
日本語だったら、ご飯よ、なんて言うんだろう。中国語になるとキツイ。命令されている気がする。「快」(クァイ)というのもよく使う。「はやく」という意味だ。
日本語でも「はやく」「急いでよ」「さっさとやれ」とかいろいろなニュアンスで使い分けるが、私の妻はすべて「快」。
これも時々、非常に乱暴に聞こえてしまう。
さらに声が大きい。もともと中国語は4声、つまり4種類のイントネーションが欠かせないので、必然的にはっきり、大きい声で話すことが必要だ。日本語のように抑揚なく、平板に話したら伝わらない。
中国に住む、自営業松田健一さん(45)も「うちの奥さんは、時々私に失礼なことを言うんだ」と笑った。中国生まれの奥さんと結婚した松田さんは、5歳の息子がいる。数人の中国人も雇っている。「私は一緒に働いている従業員に、少しでもよい給料を出したいと思っているが、妻はそんな私に考え方が甘い、給料を出しすぎだとはっきり言う。時々カチンと来る」そうだ。
言い合いになることもあるが、「私を愛しているなら、私の意見を聞けるはずだ。あなたの愛情はそんな薄っぺらなものなのか」と一歩も引かない。
若い頃、アフリカや香港で暮らしたことのある松田さんは「自己主張が強いけれど、世界のスタンダードからすると中国人女性は普通の部類です。日本人男性がナイーブ(敏感)すぎる」との評価だ。

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