ノルウェーのテロから考える国際結婚

@筆者:五味洋治プロフィール [ 2011年 8月 8日 ]

ノルウェーのテロから考える国際結婚

2011年7月に北欧、ノルウェーで起きた爆弾、乱射テロは衝撃的だった。犯人は精神に問題を抱えていると指摘されているが、見逃せないのが彼の犯行の動機だ。

報道によれば犯人は、法廷で「与党の労働党がイスラム系移民を受け入れすぎた。やめさせるため強いシグナルを送った」。犯人は法廷でこう述べ、自らの犯行を正当化したという。
イスラム教徒を含め、ノルウェーには移民が全国民の1割いる。その人たちがノルウェーを破壊すると犯人は考えたのだろう。
じつはこういう排外主義は、ヨーロッパでますます強まっている。移民の増加が、もともとその国に住んでいた人たちと摩擦を起こし、武力衝突に発展するケースも少なくない。
このためフランスでは、移民にフランス語の習得を義務つけているし、これまで比較的寛容だった英国も、移民の管理を重視するようになっている。

http://blog.ap.teacup.com/potyomkin/2080.html

日本のお隣の国、韓国は、少子、高齢化に備えて、移民を幅広く受け入れようと努力している。
国際結婚も「結婚移民」として前向きにとらえ、「多文化」(多様な文化)発展の契機として活用しようとしている。
韓国の新聞によれば、2006年に全人口の1.86%だった全人口に占める外国人の比率は2010年には2.50%にまで増加している。
行政も多文化定着に積極的に乗り出していることは、すでに先にこのサイトに公開した文章の中で詳しく説明しているので参照してほしい。
それでも「インターネット上で深い文化的衝突が起きている」(ソウル新聞7月26日付)という。

たとえば「安い労働力が流入すれば、国民の生活が危うくなる」といった書き込みだ。在留外国人では48.3%が中国人で、他を圧倒している。ソウルの郊外にある安山市には、自動車工場に勤務する中国人が、本格的な中華街を建設した。
こういった動きを受け韓国人の中には、「中国が嫌い」と答える人が年々ふえている。
それでは日本はどうか。 法務省の統計によれば、平成22年(2010年)末現在の外国人登録者数は、不況の深刻化で、平成21年(2009年)比2.4%減の213万4151人、総人口に占める割合も1.67%に縮小した。
ただ、摩擦を避けるために鎖国することは、もうできない。外国人が、日本のある部分を支え始めているのは、否定できない事実である。

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukantourokusyatoukei110603.html

ノルウェーに話を戻す。この国は人口約485万人。伝統の漁業に加え、北海油田の石油収入を享受し、1人当たりの国民総所得は8万6440ドル(2009年)と世界トップクラスにある。社会保障の完備や治安の安定で知られていた。

ストルテンベルグ首相はテロ後の追悼式で、「ノルウェーの伝統である開かれた社会を今後も維持していく」と述べ、移民に寛容な社会を維持する姿勢をはっきりさせた。
社会の矛盾に対する怒りを、移民だけに向けるのは賢明な方法とはとても言えない。

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