子供(婚外子)の認知と国籍について
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子供が出生により日本国籍を取得する条件
- 子が出生により日本国籍を取得するのは,次の3つの場合です(国籍法第2条)。
1
出生の時に父又は母が日本国民であるとき
2
出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
3
日本で生まれ,父母がともに不明のとき,又は無国籍のとき
ここでいう「父」又は「母」とは,子の出生の時に,子と法律上の親子関係がある父又は母をいいます。また,この法律上の親子関係は,子が生まれた時に確定していなければなりません。
では、父と母が結婚していない場合はどうなるかといいますと,婚姻をしていない日本人父と外国人母との間に生まれた子については,母の胎内にい る間に日本人父から認知されている場合(胎児認知)には,出生によって日本 国籍 を取得しますが,出産後に日本人父が認知した場合には,出生の時に法律上の親子関係があったことにはなりませんので,原則として,出生によっては日本国籍 を取得しません。
このような子が,父母の婚姻と父からの認知によって 準正 嫡出子となった場合については,一定の要件を満たしていれば,法務大臣へ届け出ることによって日本国籍を取得することができます
婚外子の国籍
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婚外子、つまり婚姻前のカップルから出生した子の場合、国籍については、以下の通りになっています。
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1.子の父が外国人、母が日本人の場合
- 両親の婚姻の有無にかかわらず、産まれてくる子は日本国籍を取得できます。 父方の国籍取得については、国ごとに異なりますので、大使館等にお問い合わせください。
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2.子の父が日本人、母が外国人の場合
- 出生した子は、母の国籍を取得することができます。
父親の国籍である日本国籍を取得するためには「胎児認知」という行為が必要となります。
父親の認知と日本国籍の関連については、下記の「子どもの認知と日本国籍取得の方法」を詳しくお読みください。
●婚外子の国籍
認知とは?
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認知とは、正式な婚姻関係にない父母から出生した子に対し、父親が、自分の子であることを認める法的な手続きです。
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胎児認知
- 子どもが母親の胎内にいる間に、認知の届出をした場合。
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生後認知
- 子どもが出生後、認知の届出をした場合。
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遺言による認知
- 文字通り、遺言によって認知する方法で、遺言の効力の発生時、 つまり遺言者の死亡の時に、効力が生じます。
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死亡認知
- 父親の死後3年以内に限り、認知請求の訴えを起こすことができます。
当事者が死亡しているため、当然、手続きは大変困難になります。
認知は、行われた時期により、以下のように分類されています。
子どもの認知と日本国籍取得の方法
- 日本人父と外国人母の婚外子の場合 (外国人母は、子の父とも他の男性とも婚姻していない)
- 上記の場合における胎児認知・生後認知と、日本国籍の関係について
- 一般的に、以下の場合に日本国籍を取得することができます。
- 1.胎児認知の場合、子は出生により、日本国籍を取得できる。
- 2.生後認知の場合は、母親の国籍を取得できる。しかし、生後認知の前又は後に、両親が正式に婚姻し、その後、法務局で「準正」の手続きをとった場合、日本国籍を取得できる。
以下では下記の条件に当てはまる、一般的な事情をご説明します。
胎児認知による日本国籍取得
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●胎児認知の場合の日本国籍取得について
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- 胎児認知の手続きは、各市区役所で行います。
- 日本国外の在住者は、大使館又は領事館が窓口となります。
- 届出人胎児認知する父
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●届出方法
- 必要書類を集め、窓口に提出する。 認知届の「その他」の欄に、「未成年の子を認知する」「成年の子を認知する」「死亡した子を認知する」「胎児を認知する」とありますので、胎児を認知するに印を付けます。
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●必要書類
- 認知届(各市町村役場で取得)
- 父親の戸籍謄本 (本籍地以外で届け出る場合)
- 母親の出生証明書+訳文
- 母親の独身証明書+訳文
- 母親の同意書・承諾書+訳文
- 母親のパスポート
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●注意事項
- 現在の法律では、胎児認知は、 子の母(懐胎中の女性)が未婚の場合のみ 、行うことができることになっています。つまり、子の母が、子の父ではない別の男性と法的に婚姻関係にある場合、胎児認知を行うことができないことになっているのです。
なぜなら、婚姻中の女性は「嫡出推定」を受け、現在夫である男性の子どもとみなすように、法律で定められているためです。
生後認知による日本国籍取得
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●生後認知の場合の日本国籍取得について
- 同じ「認知」でも、出生後に認知を行う「生後認知」だけでは、日本の国籍法では、子どもには日本国籍は与えられません。
「生後認知」で国籍を取得するためには、認知の前又は後に両親が正式に婚姻し、その後、法務局で「準正」という手続きを行う必要があります。 つまり、父母の婚姻と父からの認知によって準正嫡出子となった場合については,一定の要件を満たしていれば,法務大臣へ届け出ることによって日本国籍を取得することができます。 -
●提出先
- 日本国籍を取得しようとする人の住所地・居住地を管轄する法務局又は地方法務局(国籍事務を取り扱う支局を含む。)
日本国籍を取得しようとする人海外在住の場合は、その住所を管轄する在外公館 -
●届出方法
- 届書を作成し,添付書類を添えて,法務局,地方法務局又は在外公館に届け出る。日本国籍を取得しようとする者が15歳以上のときは本人が,15歳未満のと きは親権者,後見人などの法定代理人が,自ら出頭手続きをする。届書提出者の本人確認のための書面が必要ですので,外国人登録証明書,旅券,運転免許証, 健康保険 証,母子健康手帳等を持っていく。
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●必要書類
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- 認知および婚姻事実の記載がある父の戸籍謄本、外国の方式による認知および婚姻証明書など
- 出生届の記載事項証明書、出生証明書、分娩の事実の記載のある母子健康手帳など
- 日本の国籍を取得しようとする人の出生時から現在までの父の戸籍謄本
- 登録原票記載事項証明書(母子)
- 写真(5x5cm、親子の写真)
- 子供の旅券のコピー(住所を証する書面としてなので必ずではない。要確認)
- 各外国の書面には必ず和訳が必要
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●「準正」について
- 1準正(父母の婚姻と認知)による国籍の取得(国籍法第3条)
- 日本人父と外国人母との婚姻前に生まれた子は,原則として,父から胎児認知されている場合を除き,出生によって日本国籍を取得することはありません。 しかし,出生後に,父母が婚姻し,父から認知された場合(準正嫡出子となった場合)で,次の要件を満たしている場合には,法務大臣に届け出ることによって,日本国籍を取得することができます。
- (1) 届出の時に 20 歳未満であること。
- (2) 認知をした父が子の出生の時に日本国民であること。
- (3) 認知をした父が届出の時に日本国民であること。 (認知をした父が死亡しているときは,その死亡の時に日本国民であったこと。)
- (4) 日本国民であった者でないこと。